シリーズ・私のバイト先 〜 個別指導塾編

はっきり言ってネタがないので、僕のバイト先でのエピソードでも。


僕の現在のバイト先は某有名個別指導塾だ。
僕はそこで中学生までの理科・英語、大学受験までの英文法・生物を担当している。
一人の人間の受験をプロデュースするいう面で、僕の責任は重大だ。
とかいいつつ、生徒とバカ騒ぎしているのが現実なのだけど。


バイトの悩みはただひとつで、何故か生物を学びに来る高校生は皆、「3年生、受験に生物を使う女の子」が圧倒的に多いことだ。
年頃の娘さんを相手に精子だ卵だ受精だなどというのは仕事とはいえ、若干ためらいがあったりする。
娘さんが赤面したりするので。


最初に紹介するエピソードは、僕がまだ新人講師の頃に担当した、当時中2生のA君。
彼は非常に無口だ。無愛想であると言っても全然良いレベルだ。


うちの塾は講師一人に生徒二人の1:2形式で授業を行う。月曜日のある授業において僕はまだ1人しか担当しておらず、当然ランダムに生徒さんを振られるわけだ。
彼の性格も何も一切知らないまま、僕はA君の授業の準備を始めた。


そして、僕は困惑する。


――彼と一切会話が成り立たないのだ。


質問しても「うーん」という声のみ。Yes/Noすら読み取れないトーンで。……これ以上ないほど、無口な子。
ぎこちないやり取りを済ませ、授業は終了。恐らくこの生徒には選んでもらえないと思った。


授業後、僕は上司に呼ばれた。
「おめでとう、先生。あの子、先生のことが気に入ったって」


そして、彼との言葉無き交流が始まった。(続く)