力が抜けた瞬間

8/1は大学に行き、全然進まない卒業研究の見直しを行っていました。私の研究は分子生物学の基礎的研究で、すでに立っている計画通りに実験を進めてデータを得ればもうそれだけでちゃんと学術誌に論文として提出できる内容なのですが、実験の第一段階からして最大難関なのです。その最大難関を半年近くも突破できずに、「いかん、このままでは卒業できない!」とあせっているところです。
で、基本的なミスが無いか洗い出していました。試薬の混合……濃度の計算……酵素は失活していないか反応温度に問題は無いか……無駄なダイマーを形成していないか……数時間かけて、全ての基礎事項をもう一度点検したら……見つかりました。スーパー基本的なミスが。
反応に必要な試薬の1種類を、規定量の2倍近く入れていたのです。何でこんなミスが起こったかというと、単純でした。実験には数種の液体を混合させる過程があるのですが、そのうち1種の液体は、すでにいろんなものが混ざっているものなのです。「ちゃんと反応させるにはもっとたくさん必要だけど、ナマモノは新鮮じゃないとダメな実験だから、めんどくさくないように混ぜられるものは初めから混ぜておけ」という感じで、塩類やら緩衝液やら、腐らないものがすでに混ざっている液があります。
この液、普通は塩化マグネシウムが入っていないことが多いのです。だから私も毎回塩化マグネシウムを入れていたのですが、説明書をよく見ると、この混合液にはすでに入っているらしいのです。塩化マグネシウムって、入りすぎていても問題ないのかな……? いやな予感がして、塩化マグネシウムが入りすぎているとどういう影響が出るか調べました。そして、過剰量が入っている場合は「反応は著しく阻害される」ということが分かりました。すでに普通必要な分の塩化マグネシウムが入っているところに、さらに規定量を入れたら都合2倍入ることになります。うまく行かないわけですよ。
2ヶ月くらいの時間をロスしたことになり、私は実験室で脱力したまま立ち上がれなくなったのでした。
明日の実験はきっとうまく行くはず! 負けないで実験しよう。