Mathematical miracles

その日、高校生だった僕は定期テストの問題用紙を受け取って、静まった教室でため息をついた。今受けとって、裏返してある問題用紙は数学のテストだった。
数学なんて何にも面白くないよ……そう思って何にも勉強もしなかったテスト。どうせ、いいとこ15点ぐらいしか取れないだろう。英語や生物だったら、クラスでも上のほうなのに。数学だけはダントツでビリだった。


「じゃあ、みんな始めて」


そういう先生の声でぱらっ、という音が教室中で重なる。僕はそれにワンテンポ遅れて問題用紙を表にした。
あーあ。生物学は本当に楽しいのに。この間習ったDNAの構造。ATCGだけで人間がプログラムされてるって、本当かな。コンピュータでさえ16進法を使ってるのに、自分はたったの4つの文字から出来てるってすごいなぁ。地球上の全生物がそれで表せるなんて……
………………
…………
……


「残り15分」


……何だと? 今なんと言ったんだ……!?(ゴゴゴゴゴゴ……)
……バカなッ!! 気がつかないうちに時間が経っているッッ!!
こ、これが……これがボスのスタンド能力ッッ!!


ま、間にあうかッ……!?


「はい、じゃあ鉛筆を置いて」


その日、僕は初めて一ケタの点を取ったんだ。